間仕切壁を撤去し、筋交いを移設。桧と漆喰壁で仕上げた住まい

お施主様の想いを全てかなえた
造作家具に囲まれた木の家
ご両親が住まわれていた家をフルリノベーションされたお施主様。「木の家に憧れていた」ことから『輪和建設』へ依頼することになったそう。「まず、築37年の建物が大丈夫なのかどうかを確認してもらいました」。ホームインスペクションの結果、しっかり建てられた家だということが分かったので、残せるものは残して、手を加えることとなった。「木の家に住みたい」「壁を抜けるところは抜いてLDKを広くしてほしい」ということだけ伝えて、間取りはプロである同社に依頼するという形で家づくりがスタートした。
以前は道路に面したところにあったキッチンをLDKの中心に移動。勝手口のあるスペースには大容量のパントリーを設置し、プライバシーを確保する緩衝の役割も果たしている。カーポートに直結しているため、買物帰りはそのまま荷物を運び込めるので、動線の無駄がない。家事のストレスを解消することや、時間や心の余裕を生み出せることは、『輪和建設』が手掛けるリノベーションの大きなテーマだ。
何を残し、何で費用を抑えるか
バランスを考えたリノベ計画
木と漆喰、自然素材にこだわった家づくりを大切にしている『輪和建設』。今回のリノベーションでは、既存床をそのまま残して上から新しい床材を張り、あちこちにあった段差をすべて解消。ドアも上吊り引き戸にすることで、掃除のしやすさなどの機能性と、見た目の美しさを兼ね備えたバリアフリー化を実現した。また、コストのバランスを考えて、1階は桧、2階は杉の節あり床材を選択。階段も緩やかだったことから段数を変えず、段板の上に桧の板を貼っている。しっかり作られた中古物件のリフォームの場合は、こういった形でコストダウンすることも可能だ。室内の壁には漆喰を取り入れた。真っ白ではなく、少しベージュがかった色を選んだことで、奥の和室や手持ちの家具とも調和し、落ち着いた雰囲気に仕上がった。左官の手で塗り上げた漆喰壁は見事な美しさだ。また、現場で採寸し、製作する建具や造作家具の絶妙な収まりと機能美・統一感は、既製品とは比べ物にならない。「以前住んでいた賃貸の家とは、家の重みがまったく違う」と話すご家族。太陽光がたっぷりと入り、節のない美しい無垢材が敷き詰められた木の香り漂うLDKは、家族が自然と集まる場所になっている。
■写真:和室と洋室の間にあった壁を撤去したことで、想像以上の大空間が生まれた。壁の中に収められていた柱には、化粧板を貼っている。言われなければ気付かない精密な細工は、大工の技術力があればこそ。お施主様は、同社が建てた物件を実際に見て、1階の床には無垢の桧を選んだそう。桧の経年変化もこれからの楽しみのひとつ。
物件情報
タイプ | 二階建て |
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構造 | 木造在来工法 |
築年数 | 築37年 |
詳細情報
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造作キッチン
オリジナルのアイランドキッチンは、人造大理石の天板・シンクを特注したもの。架台は桧で大工さんが造作。同じ色硝子が手に入らないことから、同社モデルハウスからパントリーとキッチンをつなぐ引き戸は移設したそう。下部は開閉可能な無双窓になっており、パントリーにある採風タイプの勝手口を開けると、キッチンまで風が届く。
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造作書斎コーナー
収納するものを決めた上で、収納スペースを確保。パソコン作業ができる書斎コーナーも設けた。
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造作洗面スペース
2階は間取りを変更せず、廊下にあったミニキッチンは撤去し、洗面スペースを広げて、造作でシンプルに仕上げた。
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造作洗面化粧台
洗面化粧台も造作。鏡の後ろ側は収納になっている。洗面台右側の収納棚には、パジャマやタオルが入れられる。適所に必要な収納スペースが確保された。
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用途に合わせた扉
以前は玄関から続く廊下が暗く、トイレやリビング、洗面脱衣室、キッチンへの動線部分に全てドアがあり、窮屈さを感じていたそう。不要なドアは取り外して、廊下を部屋に取り込み、窓からの光や風を取り入れた。また、上吊り引き戸や目隠しの格子にするなど、使い勝手と見た目の美しさを兼ね備えた工夫も施している。
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大きな軒下空間
丁寧に建てられたお家と一目で分かる深い軒裏。増設したウッドデッキは洗濯物を干すスペース。
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やさしい雰囲気のダイニング
和室だった部分はLDKに取り込み、ダイニングスペースに。以前から使っていた家具もうまく調和している。自然光がたっぷり入るこの場所は、ご家族のお気に入り。
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既存を生かした玄関
玄関ホールは以前のまま。新しく整えた部分と、以前のままの部分が違和感なく調和しているのは、同社の技術力ならではといえる。
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段差なくつながる空間
2階の床は、節ありの杉の無垢材を使用。廊下との段差を無くし、入口はドアから上吊りの引き戸へと変更した。
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外観の塗り替え
汚れが目立つ白っぽいトーンから、外壁・塀もすべて塗り替えられた。ポストも大容量タイプに取り替えた。
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壁内部に隠れている構造を見て、的確に判断
図面が残っていない場合は、「筋交いがどこに入っているのか」などは解体して初めて分かることもあります。筋交いを移設し、壁を撤去することができたので、お施主様がご要望された広いLDKをカタチにすることができました。
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家具や建具を造作し、統一感のある空間に
「既製品よりも、サイズを合わせて造作家具を作ってほしい」というご要望に応え、カップボードやダイニングの壁面収納・洗面化粧台もすべて造作しました。使う場所に物の置き場所を確保しているので、片付けのストレスが軽減できます。
設計 阿部 智子
最初のご提案では、LDKの柱間の壁を残す予定でしたが、工事を進めていく中で筋交いの移設ができると判断。柱間のスペースを開け、十分な空間を確保することができました。