三世代家族が集う、ほどよい距離感。機能性と団らんの間取りを両立させ、生まれ変わった、安心で快適な住まい
これからも、家族みんなで心地よく暮らしていくために
三世代家族が互いを思いやる心に寄り添って。
大胆な改修依頼を見事に実現した古民家は、
優れたデザイン性と機能性を持つ多世帯住宅の理想の形に。
築80年のK邸は藤原京の畔にあり、耳成山を一望できる立地に三世代五人が暮らす。幾度も増改築を繰り返したことで設備の老朽化や段差の多さ、動線の複雑さ、昼なお暗いなど解決したい問題が山積みになっていた。「広いけれど使い勝手の良くない家を抜本的に見直して快適な住まいに」との依頼を受けて窓や断熱材などの省エネ改修を行い、K様の高齢のご両親が使用される空間はすべて段差を解消し、安心して長く暮らすために必要な安全性と快適性を実現した。特に動線が複雑な住まいだったので、「思いやり生活動線」を工夫し、増改築を繰り返している部分を構造的に整理した。
例えば浴室は同じ敷地内の「離れ」にしかなくヒートショックが心配だったので、母屋の作業場だった場所を改修して新設。洗面脱衣室も併設して快適性と利便性を向上させた。また中庭だった場所は、三世代が一緒にくつろげる「現代版縁側」をイメージした明るいLDKへと生まれ変わらせた。リモデル後は、食事のあとも家族がLDKへ自然と集まって一緒に過ごす時間が増えたという。この施工は優れたデザイン性と機能性を融合させたアイデアが高く評価され、2018年にリフォーム実例を競う「TDYリモデルスマイル作品コンテスト」で全国2位にあたる「総合リモデル賞」を受賞している。
■物件詳細:築80年(一戸建て、母屋+離れ)
■リフォーム面積:80.36平米(24.309坪)
キッチン手元には小物が収納できる棚を製作。実はここで建物の角度を調整し、水平となるようキッチンを設置。
暗くて使いづらかったキッチンは奥様がお母様の行動を見守り、声をかけやすい配置に。
外から明るい光を採りこむ大容量収納のキッチン。
洗面脱衣室。ご高齢のご両親が座ってゆったり使えるよう寝室の近くに新設。
母屋に新設した浴室に施主も「お陰様で長年の不便が解消されました。家の中で安心して入浴できます」と大満足だ。
印象的な大窓から望む耳成山。天窓から降り注ぐ明るい光に、家族の団らんもはずむ。
古民家の特性を生かした補強方法である構造耐力面格子は、職人が手作業でいちから作り上げる。
リビングに面した小上がりの和室は戸を閉めれば独立した空間に。開ければ腰かけて、藤原京越しに耳成山を望める最高の使い勝手へ。
三和土の框(かまち)部分の高低差を解消、デザイン性と機能性を備えた手すりをつけてバリアフリーへ。天井や建具の一部はそのままに、奥からの採光も取り入れた明るい空間へ。
既存部分との調和をはかりながら、違和感なく溶け合うようなじませた外観。
経年劣化が進み使いづらい玄関扉は、お家の風合いになじむものを採用。プチリフォームで足元の段差も安全に改善した。