5つのキーワードで読み解く、“おしゃれリノベ”の編集術:「住まいを編集する」感覚が、理想の暮らしをつくる
2025/09/12
目次
私はマンションリノベや中古リノベに憧れていて、ドラマや映画、雑誌に出てくるリノベ実例を見ると何とも言えない満たされ感があります。新築よりヴィンテージ感あふれるおしゃれなリノベ住宅に惹かれます。
中古住宅リノベが広がる中、結婚や出産を機に“自分たちらしい家”を求め、SNSで理想を探しながら新築よりリノベに魅力を感じる20〜30代が増えています。価格・立地・デザイン、そのすべてのバランスを大切にしながら、おしゃれな住まいをどう実現するか――それがこれからの家づくりのテーマになっています。単にデザインを追うだけでなく、自分たちの暮らしにフィットし、時間とともに成長・変化する「編集された住まい」が注目されています。今回は、“おしゃれリノベ”のエッセンスを5つのカテゴリとキーワードで深掘りし、住まいづくりのヒントを探ります。
①間取り:廊下レス×連続空間×段差ゾーニング

リノベの間取り設計でトレンドなのは、扉や廊下をなくして空間をゆるやかにつなげること。これにより開放感と動線の良さが生まれます。扉がないとリビング・寝室・ワークスペース・洗面所が一続きに見えますが、全く同じ空間ではありません。床の素材や高さを少し変えたり、柱や梁で視覚的に区切ったりする段差ゾーニングで、「つながりながらも異なる居場所」を演出。無駄なスペースが減り、コンパクトでも広がりを感じられます。
②素材:コンクリート/無垢材/ヴィンテージ×ポップ

おしゃれリノベの素材選びは、無骨でヴィンテージ感のある素材と、柔らかくポップな色・質感を組み合わせるのがトレンドです。床に打ちっぱなしのコンクリートを用いて粗さと重厚感を演出し、無垢材の柱や梁で温かみをプラス。さらに、ペールピンクやオレンジ、イエローといった差し色を、ソファやダイニングチェアのファブリック、照明のシェード、ラグやアートなどにさりげなく散りばめると、ヴィンテージの重さが軽やかに和らぎ、空間にフレッシュなリズムが生まれます。強さと柔らかさのバランスが調和することで、唯一無二の個性ある住まいに仕上がります。
③色使い:オレンジ・ピンク・イエロー/差し色のセンス

色使いはおしゃれリノベの肝。例えばヴィンテージ×ポップな空間ではオレンジやピンク、イエローといったビビッドな差し色をどこにどのくらい入れるかが大切です。例えばリビングの床にオレンジタイルカーペットやキッチンの壁にペールピンクタイル、トイレの壁紙に鮮やかなイエローなど、好きな色を散りばめて個性を演出。差し色は全体の調和を壊さず引き立てることが重要で、強弱や配置のバランスで無骨すぎず可愛すぎない絶妙な空気感を作れます。
④収納:見せる収納/アメリカンフェンス/土間ストレージ

収納は単なる「しまう場所」ではなく、空間の一部としてデザインされます。見せる収納は棚をオープンにし日用品や雑貨をディスプレーのように見せ、暮らしのリアルさと個性を加えます。アメリカンフェンスやメッシュパネルを壁や土間に設置してバッグや帽子を掛けるアイデアも人気。土間は広く設けることで外遊びグッズやキャンプ道具を収納でき、「外」と「中」の境界線が曖昧になり暮らしの幅が広がります。
⑤暮らし方:DIY余白/暮らしながら育てる/可変性ある設計

おしゃれリノベは家を「完成品」ではなく「プロジェクト」として捉えます。DIY余白を残すことで住み手自身が暮らしの中で変化させる楽しみを持てます。壁に有孔ボードを設置したり、モルタル壁に絵を描いたり家具配置を変えたり。可変性ある設計は家族構成や生活スタイルに合わせて間取りや使い方を変えやすく、可動棚や仕切りなどの工夫で時間とともに「育つ」住まいになります。
まとめ:住まいは「編集」の積み重ね──住まいをカルチャーにする
「おしゃれリノベ」とは完成されたインテリアやデザインではなく、自分たちの暮らしや価値観に合わせて“住まいを編集し続ける”プロセスです。間取りのゆるやかなつながり、素材のミックス、色の差し込み方、収納の見せ方、DIY余白、そして自分らしさの追求が重なって、ただおしゃれに見えるだけでなく、暮らしやすくずっと好きでいられる住まいが生まれます。
おしゃれリノベはデザインだけの話ではなく、“住まいをどこまで自分らしく編集できるか”という問いそのもの。素材や色で遊び、ゆるやかに区切られた間取りで、カラフルに家族の「好き」を詰め込みたい。そうした願いを叶えるには建物選び、設計、予算、機能性、施工パートナー選びまですべてが「自分らしさ」と連動している必要があります。
そして何より、「完成」ではなく「更新し続ける暮らし」こそが、あのドラマのような住まいの本質。住まいをカルチャーにする、そんな気持ちでリノベに向き合えたとき、“なんかいい”が積み重なった、ちゃんと現実的な理想の住まいができあがるのです。
これからおしゃれリノベを考えるなら、「編集者としての自分」になりきって、ひとつひとつの選択を楽しみながら住まいを育てていきましょう。
ライター 内藤美由紀