江戸時代から続く、武家屋敷

建築から200年以上も経つ住宅ながら、構造部分の傷みや歪みはほとんど見られなかったというこちら。その一番の理由はやはり、〝愛着を持って大切に住み継がれてきたから〟なのだろう。だからこそ『島田工務店』は、「もともとの趣を引き出しつつ、未来に届けられる住まいをつくる」という改修計画を導き出した。床下にある束石はコンクリートでつくり直し、床板は無垢の桧に張り替えた上で古民家らしい古色に塗装。また切妻屋根の葺き替えでは家紋付きの鬼瓦まで忠実に再現した。室内では既存の建具や現しの柱・梁には洗いをかけて長年の汚れを落とした。その仕上がりを見たお施主様も、「昔の色を取り戻した」と満足そうだ。間取りはあえて変更せず、それでも生活動線をスムーズにするため通り土間に跳ね上げ式の渡り廊下を新設。窓をペアガラスや二重窓にし古民家における寒さ問題を解消しつつ、外観は200年前の建物の趣を残している。今回の改修をきっかけに、「荷物も減ってすっきり暮らせるようになった」とお施主様。風情と価値を備えた古民家が本来の魅力を取り戻し、次代までつながる住まいへと再生した。
物件情報
タイプ | 二階建て |
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構造 | 木造 |
築年数 | 築200年以上 |
リフォーム面積 | 1F61.19㎡(18.51坪)、2F94.62㎡(28.62坪) |
施工期間 | 11カ月 |
詳細情報
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通り土間から入るこの部屋はもともと3部屋に分けられていた空間。ひと間続きにすることで開放的に使える場所となった。
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旧家らしい箱階段も、江戸時代から続く同邸宅ならでは。上部の開口は、開閉できるようにし、空調効果を高めた。
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立派な切妻屋根の総葺き替え。鬼瓦には家紋を忠実に復元し、もともとあった風格と気品のある屋根を再現した。
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生活動線を分断していた通り土間には、大工が造作した跳ね上げ式の渡り廊下を新しく設置した。
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風情を生かしつつ、新たな価値を添え、さらなる100年を快適・安全に暮らせる住まいへリノベーションを行った。
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以前あった工場を解体し、駐車場に変更。住宅部分とは趣を変えて、門扉やアプローチを洋風でモダンなデザインに。
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2階は、武家屋敷らしさを改めて整え直した空間。建具は既存の物を生かし、床の張り替えと壁の塗り直しを行った。
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窓をペアガラスや二重窓にすることで断熱性能を高め、古民家における寒暖差を改善した。
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こちらは2階にある畳敷きの和室。その趣を生かすため、聚楽壁仕上げに。
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床下で構造材を支える束石を、コンクリートで再建。建物の全体をより強くし、安全性を高めた。
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中庭の景観に調和した濡れ縁。縁の床板の色合いが馴染むように改修。
代表 島田 昌則
大切に住み継がれてきた家・次代にも残していく古民家を、現代の暮らしにマッチする住宅へとリノベーションしています。住まう方に寄り添い、想いに近づけることでその家に“より深い愛着”を感じてもらうことにつながります。