美しい中庭を愛でる住まい
住まいと家族の歴史を未来へつなぐ……
隠れた魅力も引き出した古民家再生
築100年以上の古民家を、家族6人が快適・健やかに暮らせる住まいへとリノベーション。生まれ変わったN邸には、空間の広がりや自然光による明るさ、家族それぞれのライフスタイルになじむ間取りや装い、そして次の世代へと引き継いでいける丈夫さや価値が備わった。そんな改修プランの設計・施工を手掛けたのは、自然素材や抗酸化工法などで「本物の健康住宅」を創造する『スペースマイン』だ。N邸の改修において、同社が最も苦心したのは蔵の修繕だったという。構造材が歪んだその建物は母屋に一部がもたれ掛かり、重たい瓦の影響もあって大きな地震には耐えられない状態。そんな建物の安全性を十二分に向上させつつ、もとが蔵ゆえのコンパクトさや静けさ等も生かして「主寝室+α」の空間へと変身させたのは、同社ならではの高い施工力と柔軟な発想力があってこそだ。
■写真:LDKは以前よりもずっと明るくなり、また廊下部を取り込んだことやキッチン等のレイアウトを変更したことで、広々とした空間となった。
■物件詳細:築100年以上(一戸建て)
■リフォーム面積:204.22平米(61.78坪)
蔵だった建物は、落ち着いた雰囲気を生かした主寝室に。
元蔵の上階に、ご夫婦がのんびりと過ごせる部屋を用意。
天井をなくして吹き抜けとした玄関ホールは、来客スペースとしてはもちろん、ギャラリースペースとしてなど、多目的な用途で使える空間に。
和室に面した広縁は、庭をゆっくり眺めたり日なたぼっこを楽しんだりと、使い方も使う頻度もずっと増えたそう。
こちらは和室の上階にある、娘さん二人の部屋。仲よし姉妹なので完全な個室にはせず、共有で使える広いスペースを設けている。
これまでは手入れができずに放置されていた中庭も、建物のリノベーションと併せてきれいに整え直された。N邸の改修プランは、この枯山水の美しく風情ある姿を、蔵を除いたすべての部屋から楽しめるよう計画。
こちらは、母屋や蔵から出てきた数多くの古建具・古道具の中で、奥様が「どうしても残したい」とおっしゃっていた屏風絵。古い屏風から絵を慎重にはがし取って傷みを補修し、表具職人の手で新たな屏風に貼り直された。