瞬間を楽しむ家
大空間に満ちる自然の光と風が、暮らしに“ゆとり”をもたらす住まい
植物が織り成す癒しを取り込んで、住まい手が求めた心地よさを創出。ふとした瞬間の、小さな喜びを紡いでいく暮らし。
内と外とのつながりをつくる設計で、“心癒される住まい”を実現
近くにはショッピングモールや緑豊かな公園がある、周辺の雰囲気も区画のサイズもゆったりとした住宅街。30代の若いご夫婦が見つけたその場所は、働き盛りの忙しい日々にも〝ほっとできるゆとりの時間〟をつくり出せそうな環境だった。そんな土地を購入し、住まいづくりをスタートさせたお施主様ご夫婦は、複数の工務店にファーストプランの作成を依頼。各社からの提案を比較した結果、「自分たちの理想に最も近い内容だった」という『株式会社 マイ工務店』に設計・施工の依頼を決めた。
『瞬間を楽しむ家』は、「緑が見える家にしたい」というご夫婦の希望をかなえた住まいだ。芝生が美しい大きな庭にはたくさんの木が植えられており、近くにある公園の緑も〝室内から楽しめる借景〟として取り込まれている。そして建物の背面側には、リビング・トイレ・バスルームのそれぞれから眺められる坪庭も。暮らしの中のふとした瞬間、自然の緑に心癒されたい……そんなお施主様の想いを〝期待以上〟に実現させた設計プランは、いかにも同社らしい。
3台分の駐車スペースや広い庭などエクステリアを大きく取りながら、それでもこちらの1階LDKには、22帖を超える広さがある。敷地面積にも床面積にもゆとりがあるとはいえ、ここまでの大空間LDKを実現できているのは、玄関ホールをコンパクトにおさえたり、〝ただ通るだけの廊下〟は設けていないなど、「過ごす場所としての要素が低い空間」を最小限にしているから。そしてこのLDKには見通しや動線の妨げとなる柱がなく、リビング部の大きな吹き抜けやウッドデッキでつながる庭への眺めも開放的で気持ちいい。さらに自然光だけで部屋中が明るく、窓を開ければ風もよく通る。ご夫婦によると、夏は涼しくて冬は暖かい、一年を通して快適に過ごせる家となっているそうだ。こちらの住まいには、同社の代名詞である「SE構法」ならではの広く自由な空間づくりと、自然エネルギーを生かした「パッシブデザイン」の効果がしっかりと発揮されている。
1階の床に使われているのは、オークの無垢フローリング。その程よく明るい色合いと、壁に塗られた漆喰の滑らかな風合いとが調和し、住まい全体はナチュラルな印象だ。その空間にご夫婦こだわりの家具がよく映え、さらに階段や吹き抜けのオープン手すりなどに見える黒い部材も、広々とした空間を引き締めるアクセントになっている。またキッチン回りの装いも印象的で、ここはお酒が好きなご夫婦に合わせ、ワインのボトルやグラスが空間を彩るアイテムとなるよう計画されたそう。オールステンレスキッチンにダークトーンのタイルなどを合わせたその仕上がりは、言わば〝大人のカフェ〟といった趣だ。
空間の装いも暮らし方の計画も
住まい手の個性を反映させて
『瞬間を楽しむ家』の2階には、1階のLDKと同じくゆったりとした空間が広がっている。しかしその装いは、1階以上に落ち着いた印象だ。理由は、床材が1階とは異なるから。2階のすべての床には杉の無垢フローリングを用い、さらに自然塗料でやや濃い色に仕上げていることで、フロアごとの印象にしっかりとメリハリが生まれている。吹き抜けに面したホールは、スペースを有効活用してつくられた、暮らしに一層のゆとりをもたらす空間だ。吹き抜けに向けてカウンターデスクと本棚が一体となった造作家具が設置されており、この場所で過ごす時間が、ご夫婦のお気に入りだという。そしてホール空間の先にあるのは、10帖ほどのフリースペース。ここは現状、ホールと間仕切りなくつながるオープンな空間なのだが、将来の必要性に応じて、簡易な工事で2つの個室にもできるそう。
もちろん、暮らしやすさを左右する生活動線や収納スペースも、住まい手のライフスタイルを反映して計画されたものだ。特に玄関ホールから2階の主寝室まで一直線につながった動線や、洗濯やゴミ処理といった日々の家事をスムーズにこなせる水回りのレイアウトは秀逸。住まい手とのコミュニケーションを大切に考える『株式会社マイ工務店』だからこその、お施主様ご夫婦の暮らしにぴったりなじんだ住まいとなっている。
■写真:大きな吹き抜けや柱のない大空間は、『マイ工務店』が標準仕様としている「SE構法」の住宅ならでは。こちらの住まいでは1階LDKに加え、2階にも広々と開放的なフリースペースが設けられている。
吹き抜けホールと、その奥に広がるフリースペース。吹き抜けに面して設置されたカウンターデスクは、ご夫婦それぞれが自分の時間を過ごす、お気に入りの場所になっているそう。
木目とモスグリーンを組み合わせた、スタイリッシュな外観デザイン。シンプルながらも個性が光る建物形状は、お施主様の希望とパッシブデザインを両立した結果だ。
あえてコンパクトにした玄関ホールも、飾り棚やウォールナットの建具で魅力的な空間に仕上げられている。
キッチン横にあるデスクコーナーは、ウォールナットの造作家具にキッチン部と同じタイルを合わせた、落ち着いた雰囲気の空間。
オールステンレスキッチンのシンプルなデザインが、空間をスタイリッシュに演出。
キッチンから住まい全体が見渡せるのも、「SE構法」による大空間ならでは。
ゆったり広々とした、キッチン・ダイニング。木目と漆喰の白壁を合わせたシンプルな装いの空間だからこそ、お施主様が以前より集めた家具類や、ご主人がセレクトしたこだわりのキッチンがより一層映えている。
デッドスペースになりがちな階段下は、テレビの設置場所として生かされた。造作のテレビボートを床から浮かせて造り付けることで、空間にさらなる広がりをつくっている。
玄関アプローチは、木目や植栽の緑に白いステップなど、質感の異なる素材をうまく組み合わせた表情豊かな空間だ。
タイルをアクセントにした造作の洗面台は、「広々とした作業スペースがとても使いやすい」と奥様に好評。
日が落ちて辺りが暗くなりだすと、事前に計算された光の演出が加わり、その姿はより表情豊かなものに。建物とエクステリアに見える植栽との一体感もさらに高まり、まち並みの風景とも一層なじむ。
ダウンライトやスポットライトなど、さまざまな種類の照明が効果的に使われた夜のLDK 空間は、昼間のナチュラルな印象とはまた違う、大人っぽい表情を見せてくれる。
坪庭の植栽も、スポットライトで幻想的に演出。この坪庭は、バスルームやトイレからも眺められる。
草木の緑を室内からも楽しめるよう“内と外とのつながり”を計画して設計されているだけに、大きな窓とウッドデッキを介した庭との一体感もこちらの住まいの大きな魅力だ。