奈良でも、断熱は必要?を数値から考える~新築・リフォーム共通Q&A~
はい、家も家族も健康を保つためには断熱対策が必須です。

断熱とは、家の中と外の温度差を少なくすること
熱は、温かいところから冷たいところへ移動する性質があります。そのため断熱が不十分だと、夏は冷房をつけても外からあたたかい熱が入り、冬は暖房をつけても熱がすぐに外へ逃げていきます。家の中で心地よく過ごせないことや、光熱費がかさむだけでなく、家の中の温度差によってヒートショックが起きるといった健康リスクも高まります。

「家のあたたかさ・涼しさをどの程度キープできるか」を数値化して区分したのが、断熱等性能等級です。「住宅性能表示制度」の評価項目のひとつで、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき定められた「日本住宅性能表示基準」に沿って、第三者機関(近畿地方整備局長の登録を受けた住宅性能評価機関)が評価を行います。現在の最高等級は「7」、2025年4月からはすべての新築住宅で等級4以上が義務化となっています。等級が大きいほど性能が高く、少ないエネルギーで快適に暮らせて、健康面の安心が高まります。

奈良県で求められる断熱のレベル

日本は縦に細長く、地域により気候が大きく異なります。そのため、断熱等性能等級が同じ等級でも、建築する地域ごとに求められる外皮性能( UA値とηAC値(イータ・エー・シー ち))の基準値が変わります。
地域区分は、日本の国全体が気候条件で1〜8地域に分けられており、一番寒い北海道は「1」や「2」。温暖な沖縄は「8」。南北に長い奈良県は、北部は比較的温暖、南部は寒さが厳しいため、4つの区分に分かれます。
【地域区分 奈良県】
| 地域区分 | 市町村名 |
| 3 | 野迫川村 |
| 4 | 奈良市(旧都祁村に限る)、五條市(旧大塔村に限る)、曽爾村、御杖村、黒滝村、天川村、川上村 |
| 5 | 生駒市、宇陀市、山添村、平群町、吉野町、大淀町、下市町、十津川村、下北山村、上北山村、東吉野村 |
| 6 | 奈良市(旧都祁村を除く)、大和高田市、大和郡山市、天理市、橿原市、桜井市、五條市(旧大塔村を除く)、御所市、香芝市、葛城市、三郷町、斑鳩町、安堵町、川西町、三宅町、田原本町、高取町、明日香村、上牧町、王寺町、広陵町、河合町 |
【断熱等性能等級の基準値 地域区分3~6】
| 等級 | 地域区分 | ||||
| 3 | 4 | 5 | 6 | ||
| 等級7 | UA | 0.20 | 0.23 | 0.26 | 0.26 |
| ηAC | 3.0 | 2.8 | |||
| 等級6 | UA | 0.28 | 0.34 | 0.46 | 0.46 |
| ηAC | 3.0 | 2.8 | |||
| 等級5 | UA | 0.5 | 0.6 | 0.6 | 0.6 |
| ηAC | 3.0 | 2.8 | |||
| 等級4 | UA | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 |
| ηAC | 3.0 | 2.8 | |||
断熱性能の重要性はさらに高まり、2030年には等級5が最低等級になる予定です。熱エネルギーは目に見えませんが、快適さ・健康・家計・環境すべてに影響します。暖かく、涼しく、心地よく長く暮らすために、断熱性能が高い家づくりは重要です。