築100年の庫裏を現代に再生する

築100年を超える寺院の庫裏を、住職の事務所と家族のための空間へとリノベーションしたプロジェクト。老朽化が進んでいた建物について、ご住職は取り壊しか改修かで悩まれたが、最終的に減築を含めた再生を選択した。床の傾きや天井の低さといった構造的課題をクリアし、天井高を確保するために梁を現しに。既存の窓は残しつつ内窓を設けることで、断熱性と意匠性を両立させた。特に印象的なのは、事務所から庭が見えるようになった点。来客時や催事の際にも視線が抜け、心地よい空間となっている。また、住職の母屋からの動線も改善され、日常の利便性も高まった。工事の直前、ご住職が病を患うという困難もあったが、「やるなら今」との思いで工事を進行。工期中も体調と向き合いながら見守ってくださり、完成後には「やっておいて良かった」と語られた。人生の節目に踏み切った決断が、建物だけでなく家族の関係や暮らしにも新たな価値をもたらしている。
物件情報
タイプ | 平屋 |
---|---|
構造 | 木造 |
築年数 | 築100年以上 |
現場監督 Y
古い建物でしたが、歴史を活かしつつ快適に過ごせる空間を目指しました。ご住職にも「やってよかった」と言っていただけて、本当に嬉しく、やりがいのある仕事でした。