どこにいても緑を感じられる暮らし
視線の抜けで居心地の良さと開放感を演出
漆喰や無垢材、天然の石材など、自然由来の素材を使い、シンプルでありながら、ひとひねり加えた家づくりに定評がある『吉川住研』。近頃は、「子どもが独立して、夫婦2人の人生を豊かに過ごすためのリフォームの問い合わせが増えている」と吉川氏は話す。
お施主様であるK様のご要望は、緑に囲まれたロケーションを気に入って購入したマンションを「年を重ねても気持ちよく過ごせる住まいにしてほしい」というもの。LDKと和室の間に壁があり、閉塞感があった以前の間取り。自由に間取りを変更できない制約の中、いつも緑を愛でながら、開放感を感じられる空間をつくるために、“視線の抜け”に徹底的にこだわったという。和室のロールスクリーンの吊元は見せない工夫が施された。さりげないものだが、通常の施工とは、作業の手間も仕上がりもまったく違う。小さなこだわりを重ね、手をかけ、そぎ落としたことでしか生まれない美しい住まい。同社にしかできないリフォームのカタチがそこにはある。
■物件詳細:築28年(マンション:鉄筋コンクリート)
■リフォーム面積:50㎡
■写真:和室の大きな円型が印象的な設えは、お施主様のご希望。円の大きさや余白の分量などは、同社の裁量に任されたという。左側のオープン棚は、本好きの奥様のためのスペース。決して収納スペースが多くないマンションリフォームは、新たに家具を置かなくていい工夫が、すっきり暮らすための重要なポイントとなる。
和室から見たLDK。複雑に折り重なる灯りが、魅力的な雰囲気を醸し出す。
天井と壁はすべて漆喰。「漆喰は人と仲のいい素材。調湿、防音、消臭、防虫効果があり、ウイルスにも強い。その効果を知ってしまうと、漆喰という選択肢しか残りません」と吉川氏。K様はとても気に入ってくださったという。
床は無垢のアカシア。落ち着いた色調のブラウンに荒い木目が独特の魅力を放つ。
キッチンはカウンターが広く、簡単な食事ができるものを選んだ。
和室は以前より小さいが、布団を2組敷くことができるので来客時も安心。
すだれのような質感のロールスクリーンを下げると、和室は独立した空間になる。