大泉の家

〝伝統的〟と〝現代的〟を美しく融合させた住まい
室内に広がるのは、何ともきらびやかな世界観。天然大理石の床はしっとりとした光沢をたたえ、置かれた家具は重厚な雰囲気を醸し出す。しかし、この空間に抱く印象は単に〝豪華絢爛〟というわけではなく、必要な要素だけを見極めた上で余計なものを削ぎ落とした、紛れもない〝品の良さ〟を感じ取ることができる。そんな『大泉の家』は、お施主様ご家族が長年暮らしてきた築30年・鉄骨造4階建ての住まいを、間取りも性能面も大幅にリノベーションした物件だ。サロンを経営されているというこちらの奥様は、以前から自邸にゲストを招いてお茶会や食事会などを開く機会が多く、それだけに「訪ねて来られたお客様には〝非日常〟を感じてもらいたい」との想いがあったそう。だからこそ、奥様がこのリノベーションで求めていたのは〝ヨーロピアンクラシック〟を表現した空間をつくり上げること。しかし、その一方でご主人の好みは、〝スタイリッシュモダン〟な住空間だったという。つまり、ご夫婦が抱いていた新しい住まいの姿は、それぞれで大きく異なっていた。この「〝伝統的〟と〝現代的〟を融合させる」という難題に取り組んだのは、『一級建築士事務所リビングデザイン』の代表・井上氏。同氏は高級マンションや高級ホテルの設計も手掛けてきた人物であり、さまざまな素材の特徴や質感を生かして空間をコーディネートするすべや、その空間の魅力を一層引き出す照明計画にも長けている。この〝同氏ならではの知識と経験〟があってこそ、リノベーション後の『大泉の家』には〝上品な豪華さ〟が備わったのだろう。もともと車庫だった1階を15帖の大きな玄関ホールにしたり、また2階のワンフロアを40帖のLDKにしたりと、その間取りは以前に比べて大胆に変更されているが、特に2階に見られる〝間仕切りも柱もない大空間〟は、鉄骨造である強みを最大限に生かした結果である。そして、インテリアで特に目を引くのはやはり、床全面に使われた白地の大理石と、階段部に用いられている海外製ロートアイアンの手すり、そして奥様お気に入りのシステムキッチンだろう。凝った装飾が施されているキッチンは、国内メーカーでは最高級と言える品。『大泉の家』の装いは、奥様がどうしても使いたかったというこのキッチンを軸に、間接照明等の計算された光の演出でモダンデザインの要素が加えられている。リビングをはじめ、折り上げ天井が多く採用されているのも特長的だ。これにより、広々とした空間にさらなる奥行きと高級感が生まれている。当然ながら、家事動線や収納の計画、また断熱性の大幅な向上など、暮らしやすさの面にも抜かりはない。ご夫婦それぞれの希望にしっかりと応えた住まいとなっている。
■写真:リノベーションにより、2階のワンフロアは約40帖の大空間LDKへと生まれ変わった。“ヨーロピアンクラシック”と“スタイリッシュモダン”を融合させた空間は、インテリアのすべてに思わず見とれてしまう。
物件情報
タイプ | 四階建て |
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構造 | 鉄骨造 |
築年数 | 築30年 |
延床面積 | 238.45㎡(72.13坪) |
リフォーム面積 | 238.45㎡(72.13坪) |
施工期間 | 4カ月 |
詳細情報
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奥様お気に入りのシステムキッチンは、レンジフード左右の吊り戸やその下の引き出し収納も含めたキッチン全面にて、シルバーのアラベスクがきらめく。
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ロートアイアンの手すりが放つ存在感や、それをより生かす余白のとり方、また間接照明による光の演出が、空間に備わる高級感を一層引き立てている。
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外観は、建物の形状や窓の大きさ・位置は変えず、石材等を使ってその姿を一新。
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トイレの空間も、すっきりと洗練された装い。壁には奥様自ら仕入れたエルメスの壁紙が使われている。
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天然大理石の床やロートアイアンの手すりといったクラシカルな印象の素材に、家具や間接照明でモダンさをプラスした空間は、しっかりと豪華でありながら嫌味はない。ちなみに、ダイニングとリビングのテレビ背面にも、大理石のタイルが用いられている。
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玄関部はその広さを生かし、床と同じ大理石を貼った飾り棚や、土間でつながる家族用の動線ともなる大きなシューズクロークも用意されている。