古民家再生の魅力|奈良のリノベーション事例6選を特集で紹介【補助金情報あり】
2025/08/10
古民家の魅力
ヨシダデザイン工房
奈良県大和郡山市
築150年の古民家を現代の暮らしに合わせて再生する

暮らしに馴染む工夫と、細やかな配慮
洗面スペースにはヴィンテージ調のタイル柄クッションフロアを採用し、ニッチや収納を設けることで、
使いやすさと意匠性を両立されています。空間全体に自然と馴染む設えが、日々の暮らしを支えています。
空間を仕切る4枚引き戸は、上部に透明ガラス、下部にかすみガラスを使用し、光を取り込みながらプライバシーにも配慮。
お子様が「小学校の廊下みたい」とお気に入りになるほど、親しみやすく、やわらかな印象を与えています。
欄間ガラスは、空間の雰囲気に合わせて一枚ずつ手作りされており、まるで当初からそこにあったかのような自然な佇まいを感じさせます。
時代に寄り添う住まいづくり
子ども部屋の改修の際、断熱性能が大きく向上したことをきっかけに、
翌年には板間と土間の床を上げ、より快適なリビング空間へと改修されました。
床材には節のあるナラ材を使うことで、「あまり和風になりすぎないように」という施主様のご要望に応えています。
土天井(天井裏に土を敷き詰めたもの)の土の落下防止のため、既存の天井の下に奈良県産の杉板を丁寧に張りました。
既存の天井との重ね施工に加え、曲がった丸太梁の形状に合わせて隙間なく収めるには高度な技術力が必要であり、
大工の手仕事によって、見えない部分にも確かなこだわりが込められています。
昔ながらの趣を活かしつつ、家族構成や暮らしに合わせて少しずつ改修を重ねる──。
必要な要素だけを丁寧に加え、今の暮らしに馴染むかたちで住み継ぐ。
の姿勢こそが、古民家を未来へとつなぐ力となっています。

お施主様とは、20年前にトイレリフォームを行って以来のお付き合いです。
大枠のご要望を伺い、プランをご提案、細かなデザインや施工は信頼してお任せいただきました。今からでは作れないような建具は残し、雰囲気を壊さないように新たな建具を組み合わせています。リビングは断熱性能がかなり向上したことから、冬場も快適に過ごせると喜んでいただけました。
島田工務店
奈良県高市郡
築80年の古民家を伝統美と快適性が融合したギャラリーに再生
桜井市の高台に建つ築80年の古民家。
この住まいにひと目惚れしたのは、東京を拠点とする陶芸作家のお施主様。
ギャラリー兼工房として新たな命を吹き込むため、『島田工務店』の手により、伝統的な美しさを尊重しながら、
現代の使い勝手に合わせたリノベーションが始まりました。
ギャラリーに展示される作品と空間が響き合うために
この古民家は現在、多くの作家たちの布・木・ガラス・陶などの作品が展示・販売されるギャラリーであり、同時にお施主様の陶芸工房としても使われています。
展示される作品は布・木・ガラス・陶など、さまざまな素材の作品たち。
そのひとつ一つの作品が、まるで建物の息吹きと響き合うように輝いています。
設計・施工にあたり大切にされたのは、展示される作品と建物のイメージがお互いに調和すること。
そのため、お施主様ご自身が空間の細部にまで深く関わり、素材や構成の選定から空間ごとの雰囲気づくりまで丁寧に監修されました。
住まい手の感性と工務店の技術力
土間には奈良市柳生の砂を使用し、庭までフラットにつながる仕上げに。
階段下には“見せる収納”を造作し、空間のアクセントになっています。
吹き抜けとロフトで広がりをもたせつつ、梁の下に配置された耐力壁は特注品。
職人の技術がひと目で伝わるよう、色を違えた柱もそのまま生かしています。水まわりは室内に再配置し、動線を改善。
何度も打ち合わせを重ね、施主のイメージをかたちにしました。
築80年の建物が、機能と美しさを兼ね備えたギャラリー空間へと再生された一例です

この建物がもつ本来の姿に魅力を感じていただき、リノベーションという選択をされたお施主様。
玄関から庭へとつながる通り庭を生かし、古い建具や柱など、残せるものはできるだけ残したいという想いが印象的でした。
快適さを加えながらも趣を損なわないよう、細部まで工夫を重ねています。
これからお施主様が歩まれるセカンドキャリアの舞台づくりをお手伝いできたことを、私たちもとても嬉しく思っています。
株式会社 北条工務店 一級建築士事務所
奈良県奈良市
住まいの「100年の記憶」を未来につなぐ古民家再生
祖父母が昭和4年に建てた家を、次の世代へ住み継ぐために
築100年を超える住まいを「この先もずっと大切に住み継いでいけるように」という想いを形にすべく、
構造躯体の改修を含め、古民家再生がスタートしました。
古き良き趣や美しさを可能な限り残しながら、耐震性・断熱性などの性能面も向上させ、
さらに現代の暮らしに合う快適性を備えた、”古くて新しい”住まいを目指しました。
間取りの再構築と自然光への配慮
改修にあたり、間取りを大きく再構成。階段の位置を変更し、
広々としたLDKは家族が集える空間として整えられました。
また、室内窓の配置によって、自然光が建物の奥まで届くよう工夫されています。
リビング横に移設された和室は、間取り変更に伴って移設した空間です。
床柱や床框、地板などは一度解体し、丁寧な組み直しによって“以前の空間”を再現。
さらに、南側へのレイアウト変更により、障子越しのやわらかな光がLDKに注ぐ設計となっています。
記憶と暮らしが息づく、未来へつなぐ住まい
玄関部の土間や天井・建具などは既存のまま生かすことで、以前の趣をしっかりと継承。
一方で階段は勾配を緩やかにし、室内窓を設けて明るく開放的な動線を確保しています。
2階の個室には、将来的な暮らしの変化に備えてウォークインクローゼットを新設。
伝統と快適性、そして暮らしへの思いやりが融合した古民家再生。
住まいが持つ”100年の記憶”を未来へと継承するこの住まいには、設計から施工までを担った北条工務店の
確かな技と、住まい手への深い寄り添いが随所に息づいています。

解体してみて初めて、家の構造がかなり弱っていることがわかりました。柱や梁が足りなかったり、傷んでいたりと深刻な状態だったため、まずは基礎をしっかり補強。その上で新しく柱や梁を加え、さらに鉄骨も使って、住まい全体の強度を高めました。
これから何十年経っても安心して住み続けられる、丈夫で安全な家に生まれ変わったと思います。
大切な住まいを次の世代につなげられる「価値ある古民家再生」がかないました。
一級建築士事務所 輪和建設株式会社
奈良県大和郡山市
芳野川流域に佇む、景観に溶け込む心癒される住まい
大阪某所から車で約2時間。桜並木で知られる芳野川流域、深い緑に抱かれた集落の一角に、ひときわ美しく建つ古民家があります。
縁側や庭から開けた景色を望む高台に位置し、まるで絵巻物の一部に紛れ込んだかのような静寂が広がります。
前々から「自然豊かな場所に古民家の別荘を」と、関西圏で物件を探し続け、数年越しに理想の古民家との出会いを果たしました。
趣を活かし、快適さも備えた古民家再生へ
改修を手がけたのは、古民家再生の実績が豊富な『輪和建設』。
自然との繋がり、空間の繋がり、人との繋がりを大切にした、同社のリノベーションは居心地がよく、
人が和み集う空間づくりが特徴です。また、お客様の要望に寄り添った幅広い提案力があり、
そこには積み重ねてきた実績と経験に裏打ちされた確かな技術力があります。
今回は別荘としての利用を想定し、お施主様の要望に寄り添いながら、「古民家の趣を最大限に活かす」設計が採用されました。
間取りの変更は最小限にとどめ、古建具を積極的に再利用。輪和建設が保管していた建具も雰囲気に合わせて厳選され、
空間に調和するように使われています。新しくなったのは、無垢の杉板を張った床や、耐震補強のために設けた漆喰塗りの壁。
さらに、外周の窓もほぼすべて入れ替えられ、断熱性能が向上しています。
懐かしさと新しさが調和する、集いの場
「海外の友人たちにも快適に過ごしてもらえるように」との想いから、キッチンやトイレなど水まわりはすべて一新。
中でも洗面や浴室は、ホテルライクな設えで整えられています。
一方で、居間の囲炉裏は“古民家ならではの象徴”として、そのままのかたちで生かされています。
「古民家の趣を大切にしながら、海外的な要素も取り入れたい」という住まい手の希望は、細部に至るまで丁寧に反映されています。
「海外で暮らす姉の子どもたちにも、日本の原風景的なこの地域での暮らしを体験してもらいたい… 」という
お施主様の想いがかたちとなり、余すことなくかなえられているようです。

もともとの佇まいを丁寧に残しながら、別荘としての快適さや機能もきちんと整えることが、今回の改修のテーマでした。
住まい手のご家族が代々この場所を楽しみ、また海外から訪れる方々にも
“日本の暮らし”を感じていただけるような一軒になったと思います。
株式会社 平野木材
奈良県磯城郡
伝統と快適性が調和する、築60年古民家の再生
築60年の日本家屋の一階部分を中心に行われた今回の改修。
断熱性や耐震性に不安を抱えていた既存の建物は、スケルトンリフォームによって構造から見直され、
断熱材や耐震壁の導入で住環境の性能が飛躍的に向上しました。
水回りは屋外から屋内へと移設され、家事動線もスムーズに。
オーダーキッチンや広めのウォークインクローゼットなど、暮らしに寄り添う設備も整備されています。
意匠と素材へのこだわりが光る空間
内装は、松の梁や古建具など既存の要素を活かしながら、オーク材の床やイギリスの塗料を取り入れて、
和の素材がもつ温かみと、洋の質感が生み出す軽やかさが共存する空間に仕上げられています。
薪ストーブの導入により家族や親戚が集う場としての居心地も向上。
縁側から庭の景観を室内へとつなぐ設計が、自然との一体感をもたらしています。
次世代へと住み継ぐ価値を宿す家
耐震面では、構造を強く固定してしまうのではなく、古民家が従来持っている
「揺れにしなやかに対応する」強みを活かした補強方法で、安全性を確保。
暮らしを根本から見直した今回の改修は、伝統的な美しさを大切にしながら、
現代のライフスタイルに寄り添う家づくりの好例となりました。未来へ住み継がれていく価値ある住まいが実現しました。




旧家のリフォームは、代々受け継がれてきた大切な住まいを、未来へつなぐ特別なプロセスです。家族の記憶と歴史が息づく趣ある建物を、現代の暮らしにふさわしい快適な住まいへと再生。耐震性・断熱性・間取りの見直しをはじめ、良質な素材を活かした設えにより、暮らしやすさと美しさが両立する空間が生まれました。
バルジ建築設計室 by 株式会社バルジ・オカダ
奈良県奈良市
「残す」と「変える」が響き合う、世代をつなぐ古民家再生
長らく空き家となっていた築100年を超える旧家を、離れに改築し移り住んでいたご両親に代わり、
息子さん一家が住み継ぐことに。当初は大手リフォーム会社との打ち合わせを重ねていたものの、
古民家特有の構造に対する理解が十分ではなく、思い描いていたような提案には至らなかったと、お施主様は振り返ります。
構造への確かな理解が導いた、安心の住まいづくり
そこで信頼できるパートナーとして選ばれたのが、古民家を実際に手がけた経験を持つ大工職人が在籍し、
構造への深い理解と豊富な知識・実績を備えた『バルジ建築設計室』でした。
設計から施工まで一貫して関わる職人がいるからこそ、構造への的確な対応と丁寧な仕上がりが実現できる――それが、お施主様の安心につながりました。
親世帯の想いと子世帯の暮らしやすさを両立
このお宅の再生設計のポイントは、築100年を超える古民家の風情を生かしつつ、
これから住み継いでいく子世帯のための暮らしやすさを両立することにありました。
親世帯が残したいと希望された仏間には、メイン玄関からアクセスできる動線を確保し、
ホール部分には二重扉を設けることで、子世帯の生活空間とゆるやかにゾーンを分けました。
プライバシーを守りながらも、家族のつながりも感じられる”絶妙な距離感”ある工夫がなされており、
両世帯が“心地よく共に暮らす”ことができる住まいの実現につながりました。

奈良県出身で、二級建築士・一級土木施工管理技士をはじめ、住まいづくりに関する資格を24種取得しています。大工としての現場経験も豊富で、伝統的な“田舎建て”の木組みにも精通しています。今回の古民家再生では、長く住み継がれてきた家の記憶を大切にしながら、次の世代が安心して暮らせる住まいを目指しました。どんなご希望にも柔軟に応えられるよう、創意工夫を重ねた一棟です。
補助金制度を活用して、古民家再生をもっと身近に
古民家のリフォームを検討するなら、補助金・助成金の活用は見逃せません。
国をあげて「住み継ぐ住まいづくり」を推奨していることもあり、部分的な改修から本格的な再生まで、幅広く対応できる制度が充実しています。
これらの制度は、事前に登録された工務店が施工することで利用可能となるため、補助金活用の実績が豊富な工務店に依頼することが、安心につながります。
古民家をはじめとする空き家に関する補助金制度は、全国的に深刻化している空き家問題への対策として整備されたものです。
空き家は年々増え続けており、放置されることで地域の安全性や景観に悪影響を及ぼすケースも少なくありません。
現在利用可能な主な補助金制度
古民家再生や空き家のリフォームに活用できる補助金制度には、いくつかの種類があります。
ここでは、代表的な制度をわかりやすくご紹介します。
古民家の耐震性を高めるためのリフォームに対して、補助金が交付される可能性があります。
※事前に「既存住宅状況調査技術者」によるインスペクション(住宅診断)を受ける必要があります。
長期優良住宅化リフォーム推進事業の公式サイトはこちら
※このページの補助金情報は、2025年8月10日現在の情報です。最新情報は、各公式サイトにてご確認ください。
まとめ
奈良には、地域の文化や職人技が息づく古民家が数多く残されています。
本特集では、そうした古民家を現代の暮らしに合わせて再生した6つの事例を紹介しました。
奈良で古民家のリノベーションを検討されている方や、再生事例に興味のある方は、
ぜひ施工会社の詳細ページもご覧ください。