残したいもの、生まれ変わるもの。2世代の想いを込めた家
「旧家のリフォーム」、特に二世帯住宅ともなれば、親世代・子世代、それぞれの想いを反映できる造り手が必要だ。
例えば、この長閑な山間に昔ながらの佇まいを残すI様邸。親世代の希望は「家のことをしっかりと理解した技術力があり、木を使った家づくりが得意な造り手がいい」。そして子世代の希望は「斬新なアイデアと提案力で、私たちの想いを実現してほしい」。世代間の全く異なる要望は、“旧家に強い”プロ集団によって実現された。
離れと母屋をつなげたこの二世帯住宅は、日本家屋の外観イメージを損なうことなく、離れのみをリフォーム。2間続きの和室と納戸は、広々としたLDKと水廻りに生まれ変わった。取り除くことのできない柱や梁などもデザインに組み込み、リビングの梁には束を加えて、ガラスブロックをプラス。シンプルながら個性的な空間へと変化した。明治時代から100年以上、奈良の建物と関わり続ける同社のノウハウと、最新のデザイン力の融合。その結果が、このI様邸と言えるだろう。
■写真:昔ながらの2間続きの和室を広々としたLDKに。お施主様の手持ちの家具に合わせて、梁の色なども統一した。また、以前、奥様のご実家で新しいクロス材を貼ったところ、アレルギーが発症したこともあり、木材も塗り壁も本当に体に良い天然素材を厳選。
広い軒下の縁側は、陽光もたっぷり注ぎ、家族だんらんのスペースにも。
玄関横には奥様が趣味を楽しむピアノ室が。マンション住まいでは叶わなかった夢が実現した。
玄関とピアノ室との間の壁には、縦に長いガラス窓。デザインとしてだけでなく、ニッチ兼明り取りとしても役立つ。そして奥の壁にあるスリットで、奥行き感も表現。