防災の視点からマイホームを考える
自然災害に加え、新しい生活様式が叫ばれるようになってからは、特にコロナ禍のような未曽有の感染症からも命を守ることができるようなマイホームを考える必要がでてきました。
「ファイナンシャルプランナー」「防災士」「心理カウンセラー」など多くの資格をもつ、筒井博之さんに、防災の視点からマイホームづくりへのアドバイスを伺いました。
土地選びに、ハザードマップを活用する
編集部)自然災害や感染症などの災害から命を守るために、マイホームづくりは何から考えるべきでしょうか?
筒井さん)まずは「立地」です。土地選びには、通勤や通学の利便性、学校や商業施設について考えますが、そこに「ハザードマップの活用」も追加するべきだと考えます。水害やがけ崩れの可能性があるか、活断層がある地域かどうかは自治体が発行しているハザードマップから一目瞭然です。後から知ったり、または分かった上で購入していたりしていても、マイホームが快適であればあるほど後々心の負担になるものです。
編集部)長期優良住宅の認定基準や、こどもみらい住宅支援事業の補助条件などをみても、土砂災害警戒区域に建つ予定の住宅は外されていますね。
筒井さん)はい、結果的に住宅の資産価値も上がるんです。
ライフラインの備蓄機能を備えて
編集部)「住宅の機能」として気を付けるべき点はいかがでしょうか。
筒井さん)耐震や免震性能をある程度備えた上で、もしもの時も数日間の生活用水を確保できる整備があることが望ましいです。新しい生活様式では、避難所でのソーシャルディスタンスも問題になっており、身の安全が確保できそうなら住宅や車で避難するよう指導されています。その時ストレスを一番に感じるのが衛生面を支える「生活用水」の不足です。阪神淡路大震災のレポートには、ライフラインの復旧まで、電気6日、上水道30日、ガス55日と記されています。
編集部)つまりライフラインの備蓄機能がある住宅が望ましいということですか?
筒井さん)そうですね、防災リュックは今やたくさんのご家庭で用意されていると思いますが、その他に、雨水タンクから太陽光発電を使った自家発電まで、住宅に取り入れることのできる防災設備を意識した計画も大切だと考えています。
編集部)もちろん大切であることは理解しているのですが、起こるかどうか分からない災害に対する設備にまでお金が回らない!というご家庭もありそうです…
筒井さん)もちろんあります。家族ごとの守らなければならないハードルを見つけて、そこに合った、命を守る備えを考えることが防災意識の第一歩です。ご家族のライフプランや資金計画と命を守るためのセーフティラインのバランスを見ながら、ファイナンシャルプランナーとして、防災士として、資金計画と防災計画を立てられるのが私だと思っています。
いかがでしたか?家づくりの視点は実にさまざまです。
他のご家族と違っていてもなにも不思議ではありません。
今回はマイホームを、「価値が落ちることのない命を守る器」という視点で話を聞きましたが、みなさんの家づくりの指針となることを願っています。
お話を聞いた人
ファイナンシャルプランナー 筒井博之さん
消費者目線のライフプランに定評があり「生涯、独立系ファイナンシャルプランナー」を貫く。疑問に思うこと、知らないことに触れるとその背景まで学ぶ姿勢で、その造詣の深さから歴史的建造物の調査も行う多彩なCFP®。
取材場所
奈良の住宅会社紹介カウンター「ナラタテ」奈良店
住所:〒630-8013 奈良県奈良市三条大路1-7-12
電話番号: 0120-879-912