住み継ぐ築150年の家

本家や離れ、馬小屋、蔵のある築150年以上になる昔ながらの古民家に少しずつ手を加えるリノベーションを手掛けている『ヨシダデザイン工房』。「お施主様とは、20 年前にトイレのリフォームを行って以来のお付き合い。仕事ぶりを信頼して、毎年何かしらの工事を依頼してくださっています」。2年前に子ども部屋を作った際、断熱性能が格段にアップしたことから、昨年は板間と土間の床を上げてリビングにする工事を行った。「あまり和風っぽくしたくない」というご要望から、床は節の入ったナラ材を使用。天井裏に敷いた土の落下を防止するため、既存の天井の下に奈良県産の杉板を張っている。ひねった丸太梁の型を取り、隙間なく仕上げるのは、大工の技術力が求められる大変な作業だったという。昔の趣を残しつつ、家族構成や生活スタイルに合わせた古民家再生という考え方。「残せるものは残しながら、何年にも渡って少しずつ手を加え、今風の要素も取り入れて大切に住まう」という、お施主様の思いがあればこそ、こういった住まいを後世に残していくことができる。
物件情報
築年数 | 築150年以上 |
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敷地面積 | 991.73㎡(300.00坪) |
リフォーム面積 | 85.00㎡(25.71坪)瓦屋根の葺き替え |
施工期間 | 3カ月 |
詳細情報
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ニッチや収納を設置した洗面スペース。床は、ヴィンテージ風のタイル柄クッションフロアを採用。
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築15 0 年の古民家に毎年少しずつ手を加え、大切に住み継ぎつつ現代に暮らすという選択。周囲の雰囲気に馴染む建具や照明を選び和に寄りすぎず、スタイリッシュさをプラス。古民家リノベーションの理想形がここにある。リビングは断熱性能がかなり向上したことから、冬場も快適に過ごせると好評。
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お子さんが「小学校の廊下みたい」とお気に入りの4枚引き戸。空間を広く見せるために上部を透明のガラス、プライベートを確保するために下部をかすみガラスにしました。欄間ガラスは、もともとそこにあったかのように雰囲気を合わせて、手作りしています。
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今からでは作れないような建具は残し、雰囲気を壊さないように新たな建具を組み合わせています。
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以前の佇まいを残しつつ、今風の雰囲気をいいバランスで融合し、使い勝手の良さも実現しました。本家の玄関にはステップを設け、利便性を向上。空間に馴染むように、手すりとは分からないように手すりを設置するなど、細やかな工夫を施しています。
吉田 尚央
お施主様とは、20年前にトイレリフォームを行って以来のお付き合いです。大枠のご要望を伺い、プランをご提案、細かなデザインや施工は信頼してお任せいただきました。今からでは作れないような建具は残し、雰囲気を壊さないように新たな建具を組み合わせています。リビングは断熱性能がかなり向上したことから、冬場も快適に過ごせると喜んでいただけました。