懐かしい家を今に合ったカタチへ

暮らしの問題とお施主様がやりたいことに耳を傾け、
お施主様の想像を超えたベストな解決策を提案。
複雑な生活動線による日々のストレスを解消し、
年齢を重ねても、愛犬と共に快適に過ごせる住まいへ。
お母様が離れでの暮らしを望まれたタイミングで住まいの大規模改修を決意されたお施主様。ご主人が、『建築工房 和』の前をいつも車で通っていたことから相談に訪れたのがきっかけとなり、レトロ住宅再生がスタートした。改修のポイントは、思い出の建具を各所に残しながら、コンパクトな動線と間取りを再プランニングすることだ。お亡くなりになったお父様がよく座っていたという窓辺の地袋天板。全部取り払って、ダイニングを広く使おうかという話も出たが、同社の伴野氏から「再生して残しましょう」という提案があったという。地袋と障子に新たな命が吹き込まれ、かつての温もりをそのままに新たな空間と調和している。また、駐車場から近い勝手口の利用が多かったことから、土間とシューズクロークを設置。土間から直接パントリーに行けるので、買物帰りの動線も短くなり、より暮らしやすくなった。「以前のものを上手に生かしてもらえたことに大満足。子どもたちが帰ってきたらびっくりすると思う」と嬉しそうなお施主様ご夫妻。同社の行き届いた提案力、細やかな感性が見事に古民家再生へ生かされている。
■写真:「梁を見せたい」というご要望があり、天井板を外してからどのようにするか決定。状況によってどんな改修を行うかを判断し、ベストな提案ができるのは、設計と大工が高いレベルで緊密な連携がとれているからこそ。庭に面した窓は、4枚から大きな2枚の窓にチェンジ。
物件情報
築年数 | 築35年 |
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延床面積 | 115.93㎡( 35.07坪) |
リフォーム面積 | 115.93㎡( 35.07坪) |
施工期間 | 3 カ月 |
詳細情報
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外壁は窓を交換するなど、工事の影響があった部分だけを吹き付け塗装。
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漆喰壁につけた愛犬まめちゃんの肉球スタンプ。
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信楽まで探しに行った手洗い鉢。毎日使う場所だからこそ心地よく高級旅館のような風情あるトイレ。
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玄関の上がり框や階段下には、ふんだんに十津川村の杉を使用。玄関の天井や収納、和室の建具は以前のものをそのまま残し、新しく張り替えた杉板とも違和感なく共存している。
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以前の間取りのままでは、お母様の生活スペースから、お風呂への移動がかなり不便だったそう。廊下や縁側だった部分の壁を抜いて、直線移動できるようにしたので、行き来がとても楽になった。
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ダイニングの地袋と障子は昔からそこにあったもの。塗り直し等の手を加えたというものの、重厚感のあるダイニングテーブルと見事に調和している。
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対面キッチンは奥様のご要望。カウンターチェアは好みのものを購入しようと検討中だそう。
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土間部分にあるシューズクローク内に配管を通すことで、ベストな位置にエアコンを設置。断熱性能を大幅に改善していることもあり、1台のエアコンで十分だという。
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キッチンのアクセントとなっているロールスクリーンは、グリーンがお好きな奥様が選ばれたもの。
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駐車場に近い勝手口から直接行き来できるパントリーは、とても便利。
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残して大正解だった思い出の地袋と障子。
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漆喰を塗る左官屋さんの技術も一級品。滑らかでフラットな仕上がり、扇形、線状の模様など、コテを使い分けて、塗り分けていく。天井はクロスを使用しているというが、漆喰に合うものを選んでいるので、正直見分けるのが難しいほどだ。
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以前、大きな台風で窓ガラスが損傷したことがあり、雨戸の必要性を痛感していたお施主様。近頃はシャッタータイプの雨戸を設置するケースも多いが、家の雰囲気に合わせて、戸袋のある雨戸を採用している。
二級建築士 伴野香
お打ち合わせや工事を進めていく中で、お施主様の細かなご要望もしっかりとお伺いし、丁寧に対応させていただきました。「梁を見せたい」というご要望を受け、実際に天井を外してみないと梁の状態はわかりませんでしたが、LDKの3本の梁が美しく揃っていたため、それを生かしたデザインをご提案しました。職人の技術力に対して深い信頼を寄せていただき、お施主様には大変感謝しております。この信頼に応えるべく、最善の施工を行いました。