まちの風情に溶け込む平屋

丁寧な設計と体に優しい素材で
健やかな日々が送れる住まいを
江戸時代の風情が今も感じ取れるここは、重要伝統的建造物群保存地区の一画。この地域では、新しく家を建てる場合にも「まちの景観」をしっかりと守る必要があります。同邸宅は、その条件を前提に設計・施工された平屋の住まいです。お施主様ご夫婦が今回の住まいづくりを決めたのは、ご自身たちと2頭の愛犬たちにとっての「健やかな住環境」を実現するためでした。これまで10年ほど暮らした一戸建ての賃貸住宅は、どこか居心地が悪く、また建材の化学物質と思われるニオイもずっと気になっていたそう。「住み始めた頃は大丈夫だったのに、年齢を重ねるとしんどくなってきて…… 」と以前の住まいを振り返るお施主様は、そんな経験をしてきたからこそ「自然素材で家を建てたい」との想いが強かったといいます。そして今回の建築には「伝統的な意匠を備えた計画」も不可欠。縁あって、その両方がかなう『輪和建設』と出会うことができました。「輪和さんも、社長の奥様のシックハウス症候群がきっかけで自然素材にこだわるようになったそうで、そんな会社なら安心して任せられると思いました」というのが、ご夫婦が同社を選んだ決め手です。
まち並みにしっくりとなじむ同邸宅の外観は、同社が行政機関からの助言を受けつつカタチにしたものです。配置計画や建物の高さ、玄関戸と腰壁の高さや格子の間隔に種類、さらには仕上げ方法までも、綿密なやり取りを繰り返した上でつくり上げられています。屋根には和瓦、壁には杉板と漆喰が用いられ、窓部分には木製の格子……その姿には、新築でありながらも「まちの歴史」がしっかりと受け継がれました。内装を見てみると、ほたて漆喰の壁に和紙の天井、杉・桧による床や造作の家具・建具など、その室内は「自然素材の心地よさ」に包まれた空間です。間取りの中心に置かれたLDKは、梁を現しにした勾配天井が面積以上の開放感を生み出しています。また、主寝室には隣の収納部屋と小窓でつながる「犬用スペース」が設けられたり、さまざまな場所にニッチが施されていたりと、ご夫婦が考えた「暮らしやすさの工夫」もしっかりと取り入れられています。「ここで暮らすようになってから、睡眠の質がずっと良くなったと感じるんです」と奥様。『輪和建設』との住まいづくりで、念願だった「理想的な住環境」が整ったようです。
■写真:LDKは『輪和建設』らしい「自然素材の心地よさ」に包まれた空間で、勾配天井による開放感も魅力的です。
物件情報
タイプ | 平屋 |
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構造 | 木造在来工法 |
延床面積 | 89.64㎡(27.11坪) |
詳細情報
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景観への配慮
まちなみ景観への配慮が必須だった外観。まちなみ保存を担う行政機関に確認をとりつつ設計が進められました。
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造作キッチン
造作のキッチン設備とダイニングカウンターは、一体型になっています。特にカウンターまわりには奥様のこだわりがひとしおで、コンロが埋め込まれていたり、ベンチには犬が潜り込まないための引き戸が仕込まれていたり……。「ここに座って見る景色が、とても癒しになるんです」と、奥様お気に入りの場所となりました。
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玄関
玄関部の上り框は斜めに切って、土間スペースにもゆとりを確保。また靴の脱着が楽になるよう、手すりやベンチも設置されています。
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主寝室
こちらは主寝室。枕元の壁に設けられたニッチや小さな飾り棚は、ご夫婦のアイデアをカタチにしたものです。
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洗面まわり
洗面化粧台や洗濯機まわりの収納も、奥様の希望に合わせて同社が造作しました。
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ワンちゃんの居場所
こちらは主寝室の一角に設けられた、「犬用スペース」です。「この家に来てから、粗相することがなくなりました」と奥様は言います。同邸宅は、ご夫婦が望んでいたとおり「愛犬たちにとっても快適な住まい」となったようです。
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あかりと窓
敷地や間取りの特性上、同邸宅ではLDKに直接自然光をとり込む窓が一箇所だけになりました。そこで室内に高窓を設置することで、「光の行き来」を計画。その窓には、同社が古民家などから収集・保存していた型ガラスも再利用されています。
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個室空間
玄関部とつながる個室からは、格子越しのまち並みを眺めることができます。
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門屋
敷地の裏手は広々とした駐車場に。その出入り口となる門屋も、「まちの景観」に配慮された姿です。
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まちなみに溶け込む
古い町家が並ぶ景色に、しっかりと調和するように計画された同邸宅の外観。それでも住宅性能は高く、耐震等級3・劣化維持等級3・断熱等性能等級5などを獲得した「長期優良住宅」です。